子供が科学者に質問するラジオ番組があるらしい。
そこである未就学児が「世界は朝から始まるの?」と質問したそうだ。

ツイッターのトレンドでは「なんて詩的なんだ」という声が多数だった。
私もとてもきれいな質問だなぁと思った。

子供の頃、日常の色々なことが分からなくて、不思議にあふれていて、世界が楽しかったように思う。
私は子供向けの科学雑誌が好きな子だった(↓これ、130号まで全部買ってもらい読んでいた)。

特に天文学の分野が大好きで、惑星のことやブラックホールのこと、銀河やビッグバンのことなどなんだって知っていた。
次に好きだったのは生物学の分野で、これはのちに大学で専門的に学ぶまでに至った。
これらの書籍を読むのは本当に楽しくて、何時間でも何日も読んで知識を蓄積していった。

だけど色々なことが分かってくるにしたがって、世界から不思議は減っていった。
月が太陽の光を浴びて光り満ち欠けしていることを知り、うさぎがそこに住んでいないことを知った。
子供心に少し寂しい知識だった。


小さなころには沢山のきれいなものに触れていたのだと思うけれど、それがきれいかどうかっていうのは大人になってからわかるもなんだと思う。
大人になってよかったと思うことの一つに、きれいなものをきれいだと感じることができるようになったことがある。
「世界は朝から始まるの?」という問いは、本人にとってはいたって切実で、重大な世界についての大切な質問なんだと思う。
この質問を子供の時のまだ何も知らない私が聞いたら、「確かに、世界は朝から始まったのかな?」と思うだろう。
しかし今は20代後半の大人だ。
この質問それ自体を尊いと思い、美しいと感じることができるようになった。

大人になることは、そんなに悪いことじゃないのかもしれない。